更新 2011/06/13
オリジナルモジュールのススメ
FA-M3(横河電機のPLC)はモジュールを自作できる
じつは簡単
「I/Oオープン」の契約を横河電機と結ぶことにより、仕様の開示と、FA-M3バスとのインターフェース部品(ASIC)やモジュールケースの提供を受けることができます。自分で設計するのはオリジナル回路部分だけで済むので、とても簡単です。
装置全体を開発しなくて済む
FA-M3のカタログでは「PLCに独自モジュールを追加できる」と紹介されていますが、「メーカー製の部品(回路)を自分の装置(回路)に使うことができる」という見方もできます。とくに一品物の装置(基板)を開発している人はメリット大きいはず。
デメリット
装置を小型(ハンディサイズ)に作ることが難しい。また、量産時にスケールメリットが得られにくい。(量産しても開発費が回収できないようなケースよりはマシですが)
豊富な標準モジュール群
色々なFA-M3標準モジュール
下記のモジュールがすでに用意されており、自由に組み合わせる(最大16個)ことができます。そして、FA-M3は工場やプラントで使われる前提なので全てが高信頼です。UL認証済み。CEマーキング付き。
高性能なCPUモジュール
PowerPC(CPU)と、VxWorks(リアルタイムOS)またはLinuxが搭載済みで、CやC++で開発します。
ラダーシーケンスで開発できるなら、CPUモジュールはさらにローコストになります。
Ethernetポート標準装備。
高信頼な電源モジュール
電源容量により数種類あります。
豊富なI/Oモジュール群
I/O回路はトラブルの元になり易く、設計に気を使う部分ですが、標準モジュールはその苦悩から開放してくれます。全て絶縁回路付き。フィルタ機能もあります。
- デジタルI/O,アナログ入出力
- 熱電対,測温抵抗体,PID,サーボ位置決め,パルスカウンタ
- Ethernet,RS232C,RS422,RS485,GP-IB,Devicenet,FL-net,HLS(リモートI/O)
- CAN
- タッチパネルの接続も可能
製作例(検査装置への応用)
FA-M3標準モジュールと、
製作したモジュール(右端)
汎用的に使い回せるようFPGAメインで作ってみました。FPGAの内部ロジックと、サブ基板を作り替えるだけでどんな機能でも作れるぞという構想です。
基本スペック
メイン基板(製作部分の左側)
- FPGA(Xilinx XC3S500E)
- FPGAコンフィグ用フラッシュメモリ(4M)
- SDRAM(64MByte)
- USBポート
- ワンチップマイコン
- デバッグ用デジタルI/O
- CANトランシーバー(4ch)
サブ基板(製作部分の右側)
- CANトランシーバー(8ch・絶縁)
メイン基板のパターン設計
基板の回路設計
基板設計の様子
回路もパターンも社内設計なので、パターンが最適になるように回路を修正しつつ設計するという芸当も。
この程度の規模なら約一週間といったところ。
メイン基板
サブ基板
ベアボード(生基板)
基板の製造は外注です。ガーバーデータをメーカに提出し、出来上がってくるまで約一週間。
並行して実装部品を集約します。
メイン基板
サブ基板
部品実装
普通は部品の実装も外注ですが、試作など製作数が少ないときは自分で実装します。(メタルマスク作らなくて済むし、早く動かしてみたいし)
208ピン0.5mmピッチQFPでも5分ぐらいでハンダ付け出来ます。
パネル穴あけ
ケースに組込み
ケースに組み込み
モジュールケースもメーカーから提供されているので、新たに作る必要がありません。フロントパネルに穴あけ加工するだけです。
今回は2wideサイズで作りましたが、1wideサイズ(幅が写真の半分)のモジュールケースも提供されています。
FPGA回路設計
横河電機の仕様書には、デュアルポートRAMと汎用CPUを組み合せた参考回路が提示されていますが、今の時代ならFPGAで作った方が得策です。
バスインターフェース・メモリ(レジスタ)・論理回路・積和演算・I/O回路を1つのチップに組み込むことができます。CPUコアを複数組み込んでマルチコア(並列演算)システムにしてしまうのもアリです。
最大のメリットは、後からいくらでも仕様(回路)変更ができること。そして入手性がとても良い点も見逃せません。
欠点は、コンフィグレーション(起動)に時間がかかる。FA-M3の起動タイミング仕様はかなりタイトなので要注意です。あと、FA-M3側回路は5V系なので3.3Vレベルシフト回路が必要です。
なお、当社ではVHDLで論理回路設計します。
FA-M3の仕様の質問は受け付けません
FA-M3バスや提供される部品の仕様についての質問には一切回答いたしません。どうしても知りたい場合は「I/Oオープン」の契約を横河電機と結んで、メーカーから直接情報を得てください。